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10月27日 Monster Hunter 「全ての病魔をお前に捧げても尚足りない。
こんばんは、鳩です……。
妄想シルバーレイン……。
酔わない奴らを蹴り出せ
「またダメだったんですか?」
屋外にて、筧・小鳩が男の死体から衣服を剥ぎ取っていると、背後から声が聞こえた。
振り返ると、筧・次郎がその様子を見下ろしていた。
「いらしていたのですか。」
「僕の仕事を奪うつもりだと聞いたので♪」
「そんなつもりはございません。」
小鳩は顔を戻すと、再び衣服を剥ぎ取り始めた。
「軍人さん。」
「はい。」
小鳩は振り返りもせず、死体を裸に剥いた。
「言う事を聞いてくれなかったと。」
「家族を質(かた)にとったのですが、国賊の為には働けない、と。」
「人でなしで素晴らしい軍人さんですねぇ。」
「そんな目をしていたので。」
「目ですか。」
死体には、胸と頭に一箇所ずつ、弾痕に似た穴が開いていた。
「その傷は水刃手裏剣ですか。棒手裏剣型ですね?」
「……やはり、本気で従事してくれる方でなければ後々争いの種になりますので。」
小鳩が苦無を取り出し、肉を剥ぎ取り始める。
「家族には?」
「何もしていません。」
「結構。」
肩の関節が露出する。半ばまで削いだ腕の肉を、小鳩は力任せに引き剥がした。
「一家揃って行方不明となると、事件の価値が全然変わりますからな。」
「なれど、最善ではなかったかもしれませぬ。
家族ごと里に取り込めていれば、或いは。」
「それが適わぬから、こんなザマになっているのでしょう?」
「言い訳次第もございませぬ。」
死体の右腕から瞬く間に肉が切り取られる。
白い骨から肉をこそげとる小鳩の銀の手は、赤黒い血に染まっていた。
「別のアプローチをした方が良いのではありませんか?」
「なれど、効率の良い制圧方法を知る師は、必要です。
わたくしも、主(あるじ)も、忍者ではなかったのだから。」
「逆に考えてみたら如何です?
軍人を里に招くのではなく、里の人間を自衛隊員にするとか。」
「……次善の策としては、ありました。」
肩の関節を切り落とす。
「わたくしとしては、焦りがあったのも確かでございます。
今すぐに、自分の知らぬ知識を手に入れたかった。」
「向上心と好奇心は大いに買いますが……。」
「この里が独自に持っていた忍者としての伝統など、たかが知れています。
それに、外の人を頼る、というケースについて早く学んでおきたかった。」
「経験から言えば、よほどでないかぎりよそ者はトラブルしか持ち込みません。」
「……。」
ではどうしろと。
沈黙に念を含めながら、小鳩は死体の胸の肉を剥がした。
「瑠璃の里のやり方では、平和的に外部の経験者を取り入れることはまず不可能でしょう。
よっぽどダーティで割り切った人材でもない限り、ヤクザの為に全力を尽くす事なんてありえない。
これは、悪党の最大の欠点でもあります。」
「諦めろと。」
「やり方を改めろと言っている。
僕は師範ではあるが、ご指摘のとおり忍者の師としては不十分です。
忍者の師の能力を持ちつつ、里にある程度の忠誠を誓ってくれる人材……。
これは、里の人間に知識を持たせる方が早いに決まっている。」
「……。」
割った腹から臓物を引っかき出す。
「銃声すらも事件になるのがこの日本です。
平和ボケといわれているが、平和にボケているからこそ、皆、異常事態に敏感。
皆してガッツリ酒を煽ってるから、現実的な事を言い出すシラフの野郎が怖くて仕方が無いんです。
行方不明者を連続で何人も出す事だって、危険極まりない行為なのですから。」
「……ご最もで。」
「ご不満なご様子。」
「そんなことは。」
「いや、わかりますよ。声に出さなくても、態度で。
あなたも僕に反抗的な態度を取れるようになったのですねぇ?」
「……。」
「幾許かの人間性を手に入れて、ようやっと分かったでしょう?
僕、結構嫌な人間だって♪」
「……。」
小鳩は黙って、死体から首を引っこ抜いた。
「ま、外から誘拐するのはやめた方がいいですよ。
金で平和的に懐柔するか、内にいる人間に合法的に技術をつけさせるか。
……焦る気持ちは、僕も分かっているつもりです。
僕だって、できるなら今すぐに始末をつけたいんだ。」
「……はい。」
「ま、時間をかけてもいいんじゃないですか?
こちらの切り札は、丘・敬次郎一枚だけなのだから。」
「……時間をかけたら、ゲームが終わってしまうのですが。」
「もし時間が足りないなら、その努力はそもそもそのゲームにそぐわない努力だったということです。
見切りは肝心ですよ、鳩?」
「……心得ます。」
「ところで、それが終わったら時間あります?
心の洗濯をしたいんですけど?」
次郎はそう言って、人差し指と中指の間から親指を覗かせた。
小鳩が振り向いてそれを確認すると、彼女は嬉しそうに笑った。
鳩はセックス大好きです……。
セックス!セックス!!
……。
以上。」
10月20日 実るほど 「お前の不本意こそが本意だ。
お前みたいな奴が本意を叶えるなんて悪夢だ。
こんばんは、鳩です……。
妄想シルバーレイン……。
秋味
「米の具合は如何ですか?」
「あら、お帰りなさい。」
山里を眺めていた灰髪の少女に、黒髪の少年が声をかけた。
どちらも二つに結った長い髪を秋風に揺らしている。
薄茶色に実った穂が、狭い畑一杯に犇いていた。
「『お屋形様』、丘・敬次郎只今帰還いたしました。」
「米は例年通りと言ったところですね。他の作物も同様に。
どちらにせよ大した問題ではありませぬ。うちの主たる収入源は、『貿易』ですから♪」
「ならば重畳にございます。」
「しかし珍しい。あなたが米の出来高を気にするなど。」
「故郷の収穫を気にするのは、里の若頭として当然の事です。」
「故郷ですか……♪」
『お屋形様』と呼ばれた少女がころころと笑う。
「時に、鳥越は一緒ではなかったのですか?」
「ええ、僕より先に出たはずなのですが、まだ着いていませんか?」
「いえいえ、挨拶は既に受けました。
彼女はあなたの命令で先に来たと言っておりましたが、如何様なことかと思いましてね。」
『お屋形様』の青い瞳が丘の黒い瞳孔を見つめた。
「他意はございません。
若頭より先に帰って出迎える体で無いと、部下としても見栄えが悪かろうと思った次第。」
「あれはお前の目付けなのですけどね?」
「一泊二日の強行軍で悪さが出来るほど、僕は出来た忍びではございません。」
「……ま、そういうことにしておきましょうか。」
『お屋形様』が踵を返すと、丘もその背を追って歩き出した。
――――
「失礼致します。」
丘が障子を開けると、『お屋形様』と、もう二人。
黒髪で背の高い中年と、灰色髪を短く刈った背の低い少女が座していた。
「や♪お久しぶり♪」
「『お師匠様』、いらしていたのですか。」
丘が黒髪の中年に深く頭を下げる。
『お屋形様』の手招きに応じ、下座の座布団に座る。
「お帰りなさいませ、『若頭』。」
「只今帰りました、鳥越。」
背の低い少女が頭を下げ、丘が笑顔を返す。
「キュウちゃんからさっきまで学園生活について聞いていたところなのですよ♪」
キュウちゃん、という呼び名に鳥越の眉が微かに動いた。
「ほう、如何でしたか。」
「まあ良くもなし悪くもなし。
あなた使役でもないサキュバスと同衾してるとか?」
「言う事を聞かなくて困ったものです。」
「そのことも伺いました♪」
「キュウちゃん余計な事言わないで良いのに。」
「キュウと呼ばないで頂きたい。」
丘に険しい顔を向ける鳥越。
彼女は名を九(いちじく)と言うが、先輩連中からは「キュウ」「キュウちゃん」と呼ばれている。
本人は全く気に入っていないようであるが。
「ま、ちょっとね。今日は僕の所信表明、というか。
お説教みたいなものを。」
「……。」
「拝聴いたします。」
「は。」
『お屋形様』が目線を向け、鳥越が頭を下げ、丘は居住まいを正した。
「まず第一に。
君らは実力の面で僕一人に遠く及ばない。」
「……。」
「……。」
「……。」
たった一言で空気が張り詰める。 「しかしながら、君等は全員、僕に無いものを持っている。
……それは忠誠心です。
己の命以上に優先するものを以って行動している。
それは時に、無謀な選択への躊躇を消すものでもあります。
そして、それにより、君等は必ずこの僕を越えていく事が出来ると確信している。」 『お師匠様』は、どうぞ、と三人に足元の茶を促した。
「僕は武術の基本もまともに身についていません。
君等は尚更。
しかし、基礎の土台を正しく積み上げた暁には、必ず君等は僕を超える。
何故か?
君等は僕に打てない一手を打てるからです。
僕は長い事一人でこういう仕事をやってきたので、自分の命が第一です。
常にリスクの無い合理的な手を選ぶ。
しかし、時には合理的でない手が最善手になることもある。」
「定石に囚われない、ということですか?」
「ただそれだけなら素人と同じなんですがね。」
質問した丘に向かって、首を傾ける。
「急がば回れって言葉があるでしょう。
僕はどうしても、回ってしまう人なんだ。
ところが君等は、それが最も早いと直感したら、綱渡りをしてでもまっすぐ進む。
直感とは、経験と閃きのフラッシュバックです。第六感などと言う曖昧なものではない。
自分達が積み上げてきた経験から、脳細胞が最速で導き出した答えの事。
論理を差し挟む余地も無く閃くから非論理的に『見える』だけで、当人にとっては最も正しい結論だ。
危機から逃げる経験しかしていない僕には、その直感が出ない。
任務とあらば命を捨てると覚悟できる君等は、僕に見えない最善手が見え、そして躊躇無く打てる。
それが、僕と君等の一番の違い。」
「……。」
「……。」
「……。」
「それだけ♪」
沈黙が流れる。
秋の颪が盆地にある屋敷の障子をがたがたと揺らした。
「……いずれ、自分を超えて欲しいと。」
丘が口を開いた。
「いえいえ。ただ、僕は決して絶対無敵じゃないってことです。
僕は何の武術も修めていない。どれもコレも拾い食いで、好きな部分を都合よく使っているだけの半端者だ。
体力もまだまだ鍛える余地があるし、全然弱いんです。
そんなものを里最強などと崇められては困る、ということ。
でなければ何のための瑠璃か?ねえ、鳩?」
「……仰るとおりです。」
『お屋形様』が無表情で応えた。 「ま、皆さんそんな硬い顔しないで。
今すぐ強くなれと言ってる訳じゃない。強さの基準も色々ありますしね。
ただ、純然たる事実として、僕の戦闘能力程度では神を殺せなかった。
それだけです。
……そんじゃあ難しい話はここまで!
皆でキュウちゃんを中心に4Pです!」
「了解しました主(あるじ)!」
「断固抵抗いたしますイグニッション!」
「僕が浚って来た頃はもうちょっと可愛げがあったような、なかったような。イグニッション!」
断固たる抵抗は、残念ながら10秒足らずで崩壊したと言う、秋のとある山里の日暮れ。
何だこれ。」
10月13日 On Her Majesty's Secret Service 「生まれてすぐに殺すという作法があった。
風習じゃない。因習でもない。れっきとした自衛の、そして社会に害悪を出さないための作法。
こんばんは、鳩です……。
妄想シルバーレイン……。
You Only Live Twice 2
アミーゴ横須賀。
正しくは、アミーゴ横須賀と呼ばれていた量販店の廃墟。
リビングデッドの身体からナイフを抜くと、丘・敬次郎はその死体を噴水の中に叩き込んだ。
「実に汚い。」
ナイフを拭ったティッシュを餞のように水の中へ放る。
「実体があるのはお好みではありませんの?」
呪髪を靡かせてセドレツィーナ・クルムロフが振り返る。
「死体を刻む趣味があると思っていたのですけれど。」
「ああー、誤解されやすいんですよねえ。」
丘が頭を掻く。
「僕は殺すことには興味ないんです。
というか、鮮度の面から言うと死んでほしくすらない。
でも僕が捌いてると人間は死んじゃうんです。」
「ややこしい方。」
「グロ趣味ではないんでね。
蛆が涌くとか腐り落ちるとかに美を感じはしません。」
「臓腑を覗くのも十二分にグロテスクな趣味だと思いますけれど。」
「世界が僕に追いついていないだけです♪」
丘は笑って、自販機コーナー前のベンチを指差した。
暫しの休憩。
「まあ確かに、リビングデッドは鮮度の面では極めて劣ることは認めますけれど。
誰にも咎められることなく分解できる人の身体、となると、あれ以上はありませんわよ?」
「人、と言えるのかなあ?」
丘が持参の水筒から水を注ぐ。
蓋一杯をカッと飲み干して言葉を続けた。
「腐っているってことは、明らかに人間の通常の代謝とは別の機構で動いているということ。
僕は、人間、というか『生き物』の身体に詰め込まれた理屈が好きなんです。
『死に物』なんてどうでもいい。」
「どうでもいいなら、何故ゴースト退治を?」
「趣味以外の部分でどうでもよくないからですね。
それこそ、生物学の範疇から外れた……ああー、未だカテゴライズされていない、という方が適当か?
そういうバケモノが人間に危害を加える。
腹立たしい事です。」
「あらら、意外とおセンチ?
人間の生死なんてどうでもいいと思ってらっしゃるのかと。」
セドレツィーナは嗤い、丘は笑顔で応じる。
「人間を侮ってはいけません。決して。
彼らの技術、彼らのコネクション、彼らの文化、彼らの歴史。
いずれも能力者如きが積み上げられるものじゃない。
僕だって忍者という日陰者ではあるが、人間が、それも比較的温厚と言われている日本人が作り上げた闇にすらとても及ばない。
僕らはそういうヤクザや人でなしからおこぼれを貰って生きているだけ。
……これは、いと尊き我が『お屋形様』の受け売りでありますが。」
セドレツィーナが眉を顰める。
彼女にとって、人など餌にも及ばない。
ただそこにあるだけの人形。
命など無価値だ。
生命活動など興味がない。
そいつの人生がどうしたというのだ。
何より、丘自身だって個人個人のヒトは軽んじているはずなのに。
でなければ生きた人間を解剖してエレクトなんてできるものか。
「なるほど、人間に御執心なのはよくわかりましたわ。
けれど人間工学に即しないと言う意味では、能力者(あなた)も同じではなくて?」
だが、丘の中ではヒトに対する悪行と敬意の折り合いは既についていた。
「だから僕は、『死ななければならない』。」
それが、ヒトを軽んじる能力者(バケモノ)が等しく辿るべき末路だと。 丘が立ち上がる。目は次の区画を見据えている。
「ヒトを害する僕は、僕自身の、つまり、『いと尊き我らが『お屋形様』』の正義によっていつか殺される。」
「正義、ですか。」
はっ。
呆れの吐息と共に呪髪が宙を薙ぐ。
胴を狙った攻撃は地に伏せた丘の長い髪を掠め、
振りぬかれたナイフはセドレツィーナの脇腹に細い傷を刻んだ。
「ちっ。」
「あなたのことをセドレ“ッ”ツィーナと呼ぶのはやめましょう。
あなたは今の年齢相応に短気でいらっしゃる。」
「短気だなんて。ちょっとした余興ですわ?」
「余興、ね。」
丘はにこりと笑い、ダンと地を蹴る。
開いた扉の向こうへ。
腐った匂いを漂わせ、リビングデッドが現れる。
丘が吼えた。
「お前らはここで終わり、終わりだ!
お前の二度目の生を、
この丘・敬次郎が余すところなく暴き立てる!」
一閃、二閃、三閃、四閃。
指が落ち、腹が割れ、腱が切られ、歪んだ生命の機構が露になる。
「YE NOT GUILTY!」
最後の審判は下り、それは呆気なく二度目の人生を終えた。
「さあ。」
エゴを見せてください。
そう語る丘の眼差しに、セドレツィーナは言葉には出さぬまま、「はい」、と応えた。
以上。」
10月12日 目に見えるところに書いておかないと忘れる 中二メモ
Brilliant Halo:legend
地球防衛軍、Shatterstorm:inferno
(Doom Blade?)Doomsday:nightmare
Voice of Duty:Veteran 10月11日 From A View To A Kill 「カトンボ死ね。
こんばんは、鳩です……。
不具合の再現で、サブリーダーさんが、「落ちろ!落ちろ(アプリ)!」と言っていたので、「カトンボ!」と合わせたら同僚が笑ってくれましたが今は無職です……。
……。
今回は、イグカが出来たら何か書くという約束の元、何か書かせていただきます……。
妄想シルバーレイン……。
You Only Live Twice
「如何でしょう?」
イグニッションの声高く、セドレツィーナ・クルムロフは戦闘服を身に纏った。
「エロいですね!」
「エロいですか。」
「エロいです。
あなたのような方がいるから、僕はロリコンをやめられない。」
艶々と光る腰に触れようとした丘・敬次郎の手が、セドレツィーナのレイピアに切り落とされる。
「ああー!」
「慎んでくださいまし。」
「全くもう、僕じゃなかったら大事ですよ?」
サキュバス・ドールの明美に指示し、落ちた手を拾わせる。
“IllegalAccessException:なんらかの毒薬や特殊なアイテム・詠唱兵器でない飛び道具などの効果は、戦闘判定に大きな影響を与える事はありません。”
“NoSuchMethodError : 詠唱銀によって発生するゴーストと戦い、怪異を取り除き、世界の常識を守る事こそ、現代の能力者達の使命なのです。 ”
赤い例外が発生し、押し当てられた手首は速やかに繋がった。
「ふう♪」
「面倒な……。」
「何が?」
「殺すことも、傷つける事も出来ないなんて。」
「チェスには、駒を壊していいというルールがありません。」
「我々は銀誓館の駒では無いと言うのに。」
「それは、自衛隊に志願しておいて兵隊になりたくなかったと言うくらい無茶な言い草だ。
自覚なさいな、『いい歳なんだから』、セドレ『ッ』ツィーナ。」
「本当に意地悪なんだから。」
セドレッツィーナとは、彼女が『再転入』する前の名前である。
ロシア語の綴りに違いは無いが、銀誓館の名簿上は別の人間。
彼女がそうした理由は……。
「あなたが少女趣味だと言うから、わざわざ合わせたのに。」
「望んじゃいないぜ、とまで傲慢な事を言うつもりはありませんが。」
「嘘ばっかり。」
「誰かに自分を知ってもらいたいという思いがどこかにあると、ブラフは出来ません。」
「それは聞きたい答えではなくてよ。」
「耳に心地良い言葉だけをお望みで?」
「訂正します。あなたは意地悪じゃない。
最低ですわ。」
「最高の褒め言葉です。
……それでその。」
「はい?」
セドレツィーナは最高の笑顔で応えたが。
「ヘソをファックはさせてくれませんか。」
最低に応じた丘に、彼女は容赦なく銀の具足で蹴りを見舞った。
以上。」
悲劇の無い人生 「チンカス野郎!
こんばんは、鳩です……。
妄想シルバーレイン……。
粘膜
「よろしかったのですか。」
「ん?」
ゴーストタウン・ホテルいちご貴族。
丘・敬次郎と鳥越・九(いちじく)は、友人達が去った後の片づけをしていた。
「目的を知らせても。」
「ここには誰もおらず何も起きていない。
そういう約束のオフ会だったはずです。」
「しかし。」
“シルバーレインによって齎されたすべてを消す事”
それを丘は余人に漏らした。
オフレコであるとか信用がある相手だとかそんなことは関係ない。
これは口にしてはいけない言葉だったはずだ。
「嫉妬してたのかな。多分。」
「何にですか?」
「ヒトとそれ以外の線引き。」
「はい?」
このオフ会の最中に、アリスティド・ブリュアンは言った。
『どこまでを『人間』『人類』でくくるかというか、正味の話、銀誓館に与している土蜘蛛やら人狼やら吸血鬼やらも合わせて隔てることになるのかい?』と。
「そんなことを気にすることが出来る精神構造に。」
「はあ。」
丘の中では、バケモノの定義はごく簡単。
『人間社会に害を為すもの』がバケモノである。
それが障害者であれ犯罪者であれゴーストであれ能力者であれ野獣であれ、
最大多数の幸福を阻害するものは、丘の中ではバケモノだ。
そして、人間は社会に害為すバケモノを倒すことで発展してきたと、彼は信じている。
丘は、能力者もゴーストも、『人が制御できない力を持っている』という一点からバケモノだと断じている。
等しくヒトが信頼できない存在であり、ヒトの敵であると。
どこまでを『人類』で括るかなど、愚問。
丘は元々、能力者やゴーストに人権を認めていない。
彼らはたまたま今幸運にも人間っぽい生活が出来ているだけで、
丘は本来それはあってはならないことだとすら思っている。
「だって、純然たるヒトですら、ひったくりをしたら警察官に取り押さえられ制圧されるんですから。
そこに人権はない。つまり、ヒトの間にいきる「人間」ではなくなるんです。
ましてや銃器で殺せない力を持つものが自由に生きる。これが害でなくて何が害だと言うのか。」
「それが嫉妬ですか?」
「多分ね。主張の対立による苛立ちも否定はしませんが、やはりこれは嫉妬です。」
スナック菓子の残骸は全てゴミ袋に収まった。口を結び、鳥越が持ち上げる。
「ゴミ捨て場は近くにございますか?」
「ありません。諦めて持って帰りましょう。」
丘は空のペットボトルを詰め込んだゴミ袋をもち、揃って廃墟を出る。
ツーテールの少年と灰色髪の少女がそれぞれゴミ袋を持って月明かりの下を歩く。
奇異な光景ではあったが、この深夜に見咎める者は居ない。
「気になりますか。」
「何がですか?」
「僕の嫉妬。」
鳥越は丘を見上げるが、表情からは何も読み取れない。
「やっぱりどこかで憧れてるんだと思います。
ああいう、人間的な悩みに。」
「お屋形様には秘密にしておきます。」
「それはありがたい♪
まあバレてるでしょうけどね。」
彼らの寮まではまだ距離がある。
丘が何事か話すらしいのを鳥越は感じ取った。
「どこかでズレがあるんでしょうね。
忍者として効率を求める僕と、そうでない僕。」
「そうでない?」
「忍者をやってるとストレスが溜まるってのは、要するにそれを求めていないってことです。
恥ずかしい話、僕、アニメや漫画大好きなんです。
それもヒーローがバトルで勝つ漫画が。友情、努力、勝利!
俗に言う『熱い』展開が好き。」
「そうなりたいと。」
「僕は。凡百の英雄なんだな、とどこかで思ったことがある。」
「ボンピャク?ですか?」
「銀誓館のありふれた、数千数万の能力者の一人、ってことです。
この世界のエンディングを見届ける、どうって事ない勇者の一人。
僕は、そうなんだ。
でも、僕の仕事やアイデンティティは英雄とはおよそかけ離れたところにある。
そのズレがね。」
運動靴の足音が夜空に響いた。
「僕は、あー、あれだ。
他人のために怒ったり悲しんだりってのは、残念ながら出来ない性質ですから。
僕の人生に悲しみはない。想像もつかない。敢えて言うなら、それが悲しいかな。
誰かが怒っているときに、泣いている時に、僕は一緒に怒ってやれない、泣いてやれない。
そうあるべきだし実際僕はそうなんですが、そうでありたくはないんです。面倒な。」
「お屋形様には、秘密にしておきます。」
「ありがたく。」
月は高く、星は脆弱に光る秋の夜。
以上。」
10月6日 エコロジー& 「セックスしようぜ!
……。
こんばんは、鳩です……。
生態学的殺戮の実行
「エコロジーの対極にあるものは何だと思いますか?」
『お屋形様』が両手を開き、歩み寄る。
灰色のツーテールが揺れ、スカートがはためく。
だが目の前の男にはそれに見入る余裕など無かった。
何しろ、彼女の殺戮を見てしまったのだから。
自分のボディガードが如何に脆弱であるかを見せ付けられたのだから。
「ねえ、何だと思いますか?」
「……知らない、助け、」
命乞いすら言い切る前に、両手から投擲されたナイフが彼の頭部を消し飛ばした。
――――
「時々こうやって見せ付けておかないと、『所詮女だから』とか見当違いな憶測を立てるアホが出てくるんでね。」
「は。」
御簾越しの影に、丘・敬次郎と鳥越・九が跪き頭を垂れている。
「で。何だと思います?丘。エコロジーの反対は。」
「……及びもつきません。」
「鳥越。」
「わたしも、わかりませぬ。」
うん、と寧ろ満足げな声が御簾の向こうから聞こえてきた。
「人道です。倫理と言ってもいいかな。」
「人道ですか。」
「その心は?」
「地球環境を保護するのなら、人類が滅びるのが一番の手だからですね♪」
笑い声交じりの声が御簾の奥から響く。
「地球環境を守るとか破壊するとかそういう考え方をするのは人間だけだからです。
環境を破壊する、とは、主語が人間なわけですから、人間が滅びれば話は済む。
ところが、人道は人間が当たり前に豊かに平穏に生きていく事を肯定する。
当然、殺戮や自殺は受け入れられない。」
「……。」
「……。」
丘は、また説教かと乾いた表情を浮かべ、
鳥越は、どんな結論を導くのかと心を弾ませつつ、無表情のまま耳を澄ませる。
「石油やその他の資源が、あと何年持つかという試算が色々出ていますが、
実はその時点で人間の発展には限界が設けられている。
今のまま生きるのであれば、地球にある資源では人間は文化的生活が出来ないと決まってしまった。
つまり、人間は地球の資源を食いつぶす事が決定しているんです。
人間の生活を維持する事は、それ自体が環境破壊になる。大地を掘り森を焼く事を止めたら、ヒトは死ぬ。」
一応補足しておきますが、と言葉を置いて。
「我々瑠璃忍者団は時に人の殺戮を糧として生きていますが、エコロジカルではなく、人道的な集団です。
何故なら、我々は、我々自身の生存と権利のために働く営利団体だからです。
我々は我々が文化的に満足して生きるためという人道を通すための団体だからです。
我々の殺戮は、エコロジカルではない。少なくとも、地球環境保護に端を発したわけではない。」
溜息一つ。
「エコロジーの反対に人道があるということは。
人道を踏みにじる行動はエコロジカルであるということです。
例えば自爆テロなどですね。
望んで殺し、望んで死ぬ。殺して死ねば幸せになるから。
これは人道とは真反対にあります。正義の原点が、生存ではなく死にある。
実行が終われば、間違いなくその人間が将来消費するはずだった資源が浮く。自分自身の分も含めて。
実にエコロジカルです。
……事後処理に資源を費やす事になるというネックはありますが。
ざっくりと言ってしまえば、宗教はエコロジカルである。」
「……。」
「……。」
「宗教と言うか、狂信かな。
自然を尊び、人間の生命活動をある意味で軽んじる。
それが出来るのは宗教のみ。
……エコロジーという言葉は日本に強く浸透していますが、
その裏面である、『最早地球は自給自足に足らない畑である』という事実は隠蔽されたままだ。
地球の資源をすり減らさないで生きることはできない。
そして、今の人数で使っている限り必ず枯渇する。必ず。
節約すれば長持ちするとかそういうことではなく、限界が見えたということが重要でね。
ヒトは早晩、地球外に新しい資源を見出すかヒト自体の数を減らさない限り、500年以内の壊滅が見えている。
……と言っても、自分の寿命の外にある危機など、何とも感じませんよねぇ♪」
「……。」
「……。」
沈黙。そして、再び『お屋形様』が口を開く。
「わたくしも何も感じていない、というのが本音です。
ヒトが愚かだなどと傲慢な事を言うつもりはありません。
ただ、エコロジーという言葉は聞こえの良さほど実利のあるものではないということだけ。」
「は。」
「はい。」
「翻れば、聞こえと名目がよいものは、人を騙すにはうってつけと言う事でもありますね♪」
「全くです♪」
「……。」
『お屋形様』のコロコロとした笑い声が部屋に響く。
「丘、鳥越。
お前達の身近で、聞こえと名目のいいものって何かありますか?」
問う声はある種の確信に満ちていて。
丘と鳥越は同じ回答を返したが、世界結界が拒絶したので誰の耳にも入ることはなかった。
以上。」
10月4日 dragonic 「泣け。
こんばんは、鳩です……。
妄想シルバーレイン……。
幼き魔龍、小さき悪人
「差別を一番長く根に持つのは、いつだって差別されてきた側です。」
拳銃を構えながら、感情の篭らない声で丘・敬次郎が言った。
パン、パン、と乾いた音が二つ。
目の前の細い木の左右が小さく削れた。
「当たりませんねぇ。」
溜息を吐いてからもう一度銃を上げる。
「使ってるんですか?それ?」
「使ってないんですか?」
眉を顰める龍臥崎・まきなと、さも不思議そうに首を傾げる丘。
「最近は本職がお忙しいみたいですし、こういうことをされている最中だと思っているのですが。」
「してませン。」
「へぇ。」
今度は三つ、パンパン、パン。
「おお、当たった当たった♪」
「丘さんは、そういうことをされてるんですか?」
「え?」
振り向いた笑顔は、『何故していないと思うんですか?』と問うていた。
「……そうですか。」
「そう、ですか♪」
互いの忍者としての生き様に、少なからず失望した模様だった。
「どんな……いえ。」
「ふふ。」
どんな仕事をしているので、とは聞かない。
それを漏らすほどお互い抜けた忍者じゃない。
「話って、何ですか?」
「んー?」
じれた龍臥崎に、丘は、結社では見せないような間延びした声を返した。
「最近お忙しそうだなあ、って。」
「それだけ?」
「それだけ。」
パンパンパンパン。
フルオートで4発。2発は外れ、2発は木に穴を空けた。
「だぁって、一時期はこちらのブログにも顔を出しててくださってたお嬢さんが、
最近は全然音沙汰もないのですもの?」
「申し訳ありませン……。」
「我等が神にも覚えはあります。
繰り糸が緩むのは、他に人形を見つけた時。」
「……。」
丘は銃をホルスターに収めると、目にも留まらぬ速さで手を振り出した。
ばきりと音がして、木が折れた。
「やはり水の方が手に馴染みますね♪」
「あの、」
「いつだって。
被差別階級だけが差別を気にする。
最低の位置にいるのはとても気持ちがいいから。
ああ、多くの人に責められる自分は最低なんだ。
そんな最低な自分を責め立てて自己満足してる奴らは、こんな俺より最低だ。
つまり俺は誰よりも最高だ。
そんな歪な自尊心。
自分以外に興味が無くなる思考回路。
他人との関係を上下でしか見られない貧しさ。
差別されているんだ、特別な同情をもらって当たり前だろう、という浅ましさ。
味を占めれば、平等すら求めもしない。
何のことはない、被差別階級こそが、その地位を一番欲しがっている。」
「……。」
「僕もそうならないように、とは思っていますが。
難しい。
何しろ、僕の根源は同属嫌悪ですから。」
「あう……。」
丘の目線が、龍臥崎にはとても冷たく感じられた。
顔は笑っているのに。
「気をつけてくださいね。」
「はい?」
「神は、ばさりとは切り捨てない。
少しずつ薄めていってしまう。」
「??」
「飽きというのは突然に来るんです。
そして、それからすーっとその趣味は薄れて消えて行く。
九の投入は、やはり僕にとっても悪影響がありました。」
「え、あ、ああ?」
丘の姿が幻のように薄れて消え、龍臥崎は辺りを見回したが。
以上。」 |
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